修道士ファルコの感想

修道士らしからぬ修道士たちが繰り広げる中世ヨーロッパの冒険活劇

「修道士ファルコ」(青池保子 プリンセスコミック 秋田書店)は西洋中世史好きにはたまらない漫画でしょう。高名な騎士だったファルコが修道士となり、修道院周辺のお家騒動や家同士の私闘、修道院乗っ取りの陰謀などに挑みます。

 

元役人で今も警察官的な発想が抜けない相棒のオド、芸術家を自称するナルシストのアルヌルフ、商魂たくましい副院長など一癖も二癖もある兄弟(修道士は互いにこう呼び合う)たちが、それぞれに特性を発揮します。主要なキャラクターの多くは修道士としては欠陥を抱えており、読者としてはかえって親しみや魅力を感じます。問題解決に向け一心に尽力する彼らの姿に心が洗われる思いがします。

 

近くの女子修道院に暮らす尼僧たちも善良ながら、女性ならではのたくましさ、したたかさで物語を盛り上げます。
キャラクターの極端な性格と言動が、西洋中世という馴染みが薄く、私たちとは違う世界観で人々が生きていた時代が舞台になると、不思議としっくり受け止められます。結末では正義が勝つので後口が良いです。時代考証が綿密なので、歴史好きな人が安心して世界に入り込めるでしょう。